2020
毎年大晦日に、その年に見たライブやイベントのことをまとめてブログにしてきた。
ところが今年は、劇場に足を運ぶことはなかった。本業に飲まれていた、というのもあるけれど、足を運ぶのにためらいがあった、というのが本音かもしれない。
少し前までは当たり前だった行動、不特定多数の人が集まるところに行って笑うことにも懐疑的になってしまうほど、日常が変わった。
2月最後の木曜日。突然、首相が会見をして、全国の学校が臨時休校になった。ほどなくして、緊急事態宣言。劇場は休館、ライブは中止・延期。
そんな未曾有の事態の中、無観客でのライブを無料配信しはじめた吉本。ルミネの配信を見ながら、仕上がりまくっている5GAP、レイザーラモンを見て腹を抱えて笑った。3月12、和牛が初めて配信に登場。おっぱい星人のネタだった。画面越しでも劇場らしさを感じて、嬉しくて仕方なかった。
6月。「オンラインチケットよしもと」ができ、観客を入れたライブを有料配信。感染状況の変化に伴い収容人数も徐々に増えた。
そしてライブシーンは今年、新しい局面を迎えたと感じている。有料配信でそのクローズドな雰囲気を残しつつ、インターネットの世界と地続きとなった結果、劇場に足を運べない人たちとの紐帯を保つことに成功しているからだ。
現場では感染対策をしながら、オンラインでは配信をしながら。そんな新しいライブ、新しい劇場の在り方が出来上がりつつあるのかもしれない。
閑話休題。
2020年、オンライン配信でみたライブ・イベント興行リスト(オンラインチケットよしもと購入分)
▽2020年7月
- プラマイオンラインランド(2日@ルミネtheよしもと 出演:プラス・マイナス、和牛、ミキ)
- TALK TANDEM~サイドカーに和牛 水田信二~(5日@よしもと漫才劇場 出演:ラフ次元、和牛・水田)
- 和牛の『ワッと集まるけどギュッとはしないトークライブ』(10日@日本青年館 ゲスト:GAG、ななまがり)
▽2020年8月
▽2020年9月
- トークライブ「クロス牛オイデヤスン」(29日@ルミネtheよしもと 出演:クロスバー直撃、和牛、おいでやす小田)
▽2020年10月
- 「井下好井のネタとトーク」 ~前半ネタやって後半ゲストを招いてトークするライブ~(10日@よしもと幕張イオンモール劇場 ゲスト:和牛)
- ワッとしてギュッと!~3組でトークする60分~(28日@大宮ラクーンよしもと劇場 ゲスト:相席スタート・THIS IS パン)
▽2020年11月
- アキナ牛シュタイン TOKYO DOME CITY HALL(5日)
- ワッとしてギュッと!〜3組でトークする60分〜(21日@大宮ラクーンよしもと劇場 ゲスト:コマンダンテ、インディアンス)
- 声、枯れるまで。~特別編・ゲストとトークやら企画やら~(28日@なんばグランド花月 ゲスト:和牛・川西、アキナ・山名、藤崎マーケット・トキ、今井らいぱち)
- 兵動大樹1hトークライブ 兵動大樹に足りないパーツ(29日@よしもと祇園花月ゲスト:和牛)
▽2020年12月
- ワッとしてギュッと!~5人でトークする60分~(25日@ルミネtheよしもと ゲスト:おいでやす小田、守谷日和、バイク川崎バイク)
和牛を中心に「自分が劇場に行けたら行くだろうな」と思うものを購入、視聴した。
やっぱりアツかったのは「アキナ牛シュタイン」の復活。
あーーアキナ牛シュタイン最高だったーー!!!久々のつなぎ&ベースボールシャツの6人に胸が熱くなった…過去に見て面白かったコーナー再来、AGS杯までちゃんとあって、大阪まで遠征してたあの頃のライブだー!って。舞台は大きくなっても変わらないAGSだからこそのノリ、空気感。やっぱ好きを実感。 pic.twitter.com/vGYnnmikB7
— me (@nyo_r1) November 5, 2020
最後に「アキナ牛シュタイン」のライブがあったのは2018年1月。そしてこの3月に「バツウケテイナー」の放送が終了。「終わった」と思った。追いかけてきた青春の突如とした終焉。様々なことを奪ったこの春が憎くて、やりきれないままの1年をぼんやりと過ごしかけていた。
でも、終わってなかった。いつものベースボールシャツにつなぎ姿の6人を見て、まだ終わってなかったと心から思えた。結果、バツウケテイナーDVD-BOXの発売発表のためのライブだったから、次はもしかして本当にもう無いのかもしれない。それでも、大阪に足を運んで毎回見ていたあの頃の熱狂が久しぶりに胸を駆け抜けたことは事実で、なんだか生きてる実感が沸いたライブだった。6人の立場は変わっても、変わらない場所。それがアキナ牛シュタインであってほしい。
毎年和牛の単独ライブに足を運んでいたけれど、今年は単独ライブが無かった。その一方で、既存のネタに磨きをかけて披露する姿は健在。1番印象に残っているのは、今年も漫才マスターとして出演した「THE MANZAI」。
THE MANZAI。和牛、薄毛。既存のネタだけど磨きが掛かったしゃべくりでテンポよくどんどん拍手笑いをかっさらってた。全国ネットで自己言及的な内輪感あるネタを選ぶあたり、やりたいことをやっている自由な感じがする。M-1の呪縛から解き放たれた今の和牛、きっと最高に漫才を楽しんでる。良き哉。
— me (@nyo_r1) December 6, 2020
M-1を卒業した、そして漫才師としての一定の評価もメディアでの知名度も得た。そんな今の和牛は、漫才にどう向き合っているのか。THE MANZAIでは、その答えの片鱗を見た気がした。
12月放送「やすとものいたって真剣です」で、川西さんが「最近嬉しいのはNGKの出番順。モタレ(トリの1こ前)に入れてくれるようになった。そこに入れて貰えるようになったことに凄く今やりがいを感じています。」と話していた。メディアの露出が増えた今でも、毎月何ステは確保して欲しいとマネージャーに伝えるほど劇場を大切にしているそうだ。
出番順の変化から自分たちの変化を感じ取ってモチベーションとしている。さらなる高みを目指す、漫才師としてブレない和牛。和牛はM-1の先を、いつかNGKの看板になる未来を見ている。やっぱり応援してきて良かったと、今年も思えた。
終わりに。
このご時世だから。予選の様子がなんだか今までと違っていたし、敗者復活戦に出られなかったコンビも出てしまった。こうやってM-1が開催されたこと、漫才で笑えること、当たり前だと思っていたことの尊さみたいなものを思い知ったと同時に、漫才は止まらないことを確認できたM-1だった。面白いは正義。
— me (@nyo_r1) December 20, 2020
どんなに生活様式が変わっても、時代が変わっても、お笑いは面白ければお笑い。メディアを問わない強さがあるコンテンツだと信じている。2021年も見守っていく所存。
良いお年を。